Question has power (質問は力なり) ②

2013年12月9日

DCF 1.0

今回は、インタビュー時の「うなづき・相づち」についてです。コーチングやカウンセリングでは『傾聴』(相手の話に真剣に耳を傾ける)という言葉が使われますが、‘聞いてるよ’というメッセージを相手に伝えるのがうなづきや相づちです。メディアインタビューにも独特の相づちルールがあります。

主役の言葉にカブらない

これに尽きます。
特にテレビの場合はマストです。どういうことかというと、「はい」「そうですね」「なるほど」という相づちがアスリートの言葉と同時に発せられると編集をする際にインタビュアーの相づちが邪魔になってしまいます。しかしながら、相手に‘聞いています’というメッセージを送る必要があるので、無言でうなづくのが基本です。しかも極浅く。同様に、相手が話し終わる前に次の質問を重ねると編集しづらくなって、アスリートが素晴らしいコメントをしてもカットされることがあります。完全に話が終わって更に編集しやすいように少し間(編集点)を空けて次の質問をするので、インタビューに慣れていないアスリートはその間に動揺してしまうことがあります。これはメディア・トレーニングには欠かせない知識です。

経験や感情を言葉で表現するのが苦手なアスリートの場合、矢継ぎ早に質問を重ねるよりもしばらく間を置いてみると言葉が出てくる場合もあります。ヒーローインタビューなど生放送で時間が限られている場合は、待てないこともありますが・・・指導者が選手に質問をする場合も、考えがまとまるまで待つ、答えを急がず「間」を取るというコミュニケーション法も効果的です。

コーチングに関する書籍を読んでいると「つまり○○○ってことですね」と要約することの必要性が書かれていたりするのですが、これはインタビューでは避けるのが一般的です。オリンピックなど、想像を絶する緊張下でプレーするアスリートの心境をインタビュアーが理解してまとめることなどできないからです。

ノンバーバル(非言語)で相手に「聞いているよ」というメッセージを送るアクションとして、アイコンタクト(目線)があります。ただ、テレビやイベントの場合、インタビュアーとアスリートが目と目を合わせるとメディアの向こう側、イベントの客席にメッセージが向いていかないので敢えて目線を外すことがあります。不安になるとインタビュアーの目ばかり見てしまうアスリートも多いのですが、その目線を会場やカメラに促すテクニックがあります。これも、伝える相手がメディアの向こうにいるというメディア・トレーニングの基本を理解していないと戸惑ってしまいます。

メディア・トレーニングを含むコミュニケーションの方法に、絶対はありません。ただ、様々な方法を知って、試して、自分のベストを導き出すお手伝いができれば幸いです。

NPO法人日本スポーツメディアトレーナー教会 糸川雅子

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