メディア・トレーニングより「マスコミの教育が先」?!

2013年4月15日

アスリートやスタッフの皆さんから

メディア・トレーニングの前に、マスコミを教育すべき

というご意見をいただくことがあります。 これまでスポーツ取材に携わってきた私にとっては耳が痛い言葉で その必要性を否定はできません。実際に最低限のマナーを心得ていない方を現場で見かけることもあります。

ただ、インタビューがうまくいかないのはマスコミの不勉強のせいで、 向こうが変わらなければ変わらないというのは受身すぎです。インタビューの相手は、マスコミではなくその向こうにいるファンの皆さんなわけですからスポーツ側から変えていける点もたくさんあるはずです。「マスコミだけ編集する権利があって不公平だ」というご意見もありますが、情報を出すか出さないかを決める、その最大の権利を持っているのはインタビューを受ける側でむしろ有利な立場にいるというのがメディア・トレーニングの基本的な考え方です。

中日ドラゴンズ

アスリートのインタビューに対する意識やスキルが向上すれば、 取材する側もこれまでのように自由にはできなくなるし、しっかり準備して 臨まなければ良いインタビューは引き出せなくります。ですから必然的にマスコミ側も 対応を変えざるを得ないのです。実際、取材に来て下さったライターさんが 「僕らもしっかり下準備してインタビューしなきゃいけないと焦りました」 と話してくれたことがあります。

相手を変えたいなら、まず自分から。

これは、どんな職業でも共通した考え方だと思います。うまく聞き出してくれるのを待っているだけだと、マスコミ側のストーリーに引き込まれる可能性も高く、インタビューの主導権を程よくアスリートが握ることがポイントです。 マスコミを変えたいと思うなら、まずスポーツから。 アスリートとマスコミが切磋琢磨して、よりよい情報を社会(ファン)に届ける。 これが理想の形だと思います。「スポーツのルールを知らないマスコミが多い」という意見はごもっともで改善すべきですが、「メディアとスポーツの関係・仕組みはしっていますか?」というと知らないアスリートがほとんどです。相手の立場を理解しようとせずに、批判だけをしていては変わるものも変わりません。

もちろん、私自身スポーツ報道においても、メディアトレーナー界においても若輩で 経験が浅く全てを理解しているわけではありません。ただ、スポーツと マスコミの間の亀裂が深まると結果、社会(ファン)の利益が減るので、 より良い形を築くためにできることはやっていきたいなと思っています。

メディア・トレーニングの現場にそもそもマスコミを入れないというトレーナーの方もいるようですし、冒頭だけで途中退出してもらうというパターンもあるようです。それぞれの考えがあって良いと思います。当協会では、受講者側のチーム・アスリートがOKならば最初から最後までマスコミの皆さんにトレーニングの様子を公開をしています。魔法のように劇的に変える秘策を伝授しているわけではないので・・取材のお申込などはお気軽に info@jsmt-sports.org まで!!是非、現役記者の皆さんのご意見を聞かせて下さい。

NPO法人日本スポーツメディアトレーナー協会 糸川雅子

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